1冊の絵本のような村
早苗が青々と茂り、そよ風がそこはかとなく吹き抜けていく。空には真っ青な青空と白い雲たちが・・・・・・・・村は旬の季節なのかもしれない。畦に腰掛け、冷たい麦茶を飲みながらぼんやりとたたずむ。ゆったりとした時間が流れていく。何にもない、ただ座っているだけなのだが、至福のひとときなのだ。村の持つ何かの力だろうか、人をしてとてもおだやかな慈愛に満ちた心境へと変化させてしまうのは。駐車場で村長のMさんと出会った。村のままで合併しなくてもいいんじゃない、と問いかけてみる。彼の話では、人口30万以下の市町村はどこかへくっついて大型市にならざるを得ないのだとか。介護保険、後期高齢者、を始めとして自力では生き残っていけないそうだ。合併して△△市となったとき、村が持っていた不思議な力は果たして残っているのだろうか。
真っ青な空と真っ白な雲・・・・・・ただそれだけでいいのだ。
村は棚田の里、ご先祖様達が苦労して切り開いてくれた棚田が青々として早苗を育ててくれている。貴重な遺産なのだ。だが耕作する村人たちも年老いた。若い人はほとんど見かけない。街への通勤なのだろうか。我々のような物好きな部外者が、例外的に入り込んでる位だ。我々のような者が、耕作放棄地を細々と耕しても追っつかないだろう。村の若い衆が農への志を持って欲しいものなんだが。
葛城山を望む棚田の一角、絵になる風景だ。
ここにも透き通るような青空と白い雲が。
Mさんが語っておられた。「俺は首になってもいい、村の人が何とか生き残れる道を準備しないと・・・・・」苦渋の上の決断だったようだ。自称「村の応援団」としても、なんとか力になってあげたいのだが。出来うることは村の良さと村の美しさとを発信するぐらいだろうか。
無限遠に伸び続けるかのような早苗達。
村の中にもこんなおしゃれなレストランが。
世間的には何にもない村、ただ感性豊かなごく少数の人々にとっては夢の村。絵のような風景がそこかしこに広がっている。あるのは山と森と田圃と水と真っ青な空と白い雲と・・・・・・・・たったそれだけなのだが、充分すぎる程なのだ。曲がりくねって細めの小道を、のんびりと歩いてみよう。普段は気づかなかった、何かが見えて来るかもしれない。
村の中は緑と青と白の世界、透明感の漂う色彩だ。
雲は既に真夏の装い、積乱雲へと変化するのも時間の問題。
村中にポエムの世界が広がっている。もっとも感じ取れるか否かはあなた次第かもしれないが。梅雨の合間の中休みに訪ねてごらん、森の妖精達が喜んで迎えてくれることだろう・・・・・・・・と信じていますが。
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