寺内町燈路
1本のローソクが醸し出すほのかな明かり・・・・・・・・・・何とも言えない風情がありますね。昔、何かの記事で読んだかと記憶しますが、東南アジアから来た留学生の素朴な疑問、「日本には夜は無いのですか?」 この質問に明確に回答出来る方はいらっしゃるでしょうか。我々は闇を失ったことにより、恐怖と畏敬の念を失った、とも聞きます。文明の発達で利便性が高まるのは非常に良いことなんでしょうが、素直に喜べない一面もありそうですね。富田林の市民の方がそうした疑問をお持ちになられたのかは知る由もありませんが、ローソクによる街起こし、卓越した視点では無いかと思っています。
夕闇迫る頃、一斉に点灯開始です。
電球ではありません、正真正銘のローソクがはいっています。
寺内町はかなりの昔から発達した宗教都市、規模の大小は別としてイタリアのバチカン市国にも相当する内容ではないでしょうか。古くから旦那衆を中心に自治を行ってきた伝統がもたらすのか、一致団結した街作りがお得意のようです。通称ローソク祭りも既に7年目を迎えるとか。夕闇迫る頃、街路におかれた小型行灯のローソクが一斉に点灯されます。電灯の光とは全く異なった、少し柔らかめの光がそぞろ歩きの浴衣姿を照らしてくれます。何とも言えない風情があって、日本の娘さん方はこんなにも綺麗だったのか、と改めての再認識です。決して、夜目遠目闇の中・・・・・・・・・・などと野暮なことは申しますまい。
子ども達も大人達も大好きな場所ですよね。
握手をお願い・・・・・・・・・・
近くでは高野山でも同じようなローソク祭りがありますが、こちらは宗教行事。寺内町のは街起こし。狙いの相違はあっても醸し出してくれる雰囲気は何か忘れ去っていた遠い故郷のようなイメージですね。先人達が障子を使って明るさを程よく調節してきた、その感性がローソクを使って夜の世界で再現されてるようですね。昼と夜、或いは明と暗、といった二者択一ではなく、ある種のグレーゾーンを好んで楽しむといった繊細な感受性が日本人の特徴でもあるようです。夏の夜の一時、打ち水をした軒先で道行く人々と会話を楽しむ住民の方々、ほのぼのとした良い雰囲気です。
オッ、僕も生ビールを頼むのか。チト早いのでは。
母と子の姿は何所にいても絵になりますね。
年に一度のイベントとはいえ、準備の手間暇と費やす経費は相当なものかと推察します。しかしながら、その波及効果は金銭には換算できないのではないでしょうか。無論、商店街としての知名度アップや商品売り上げ或いは集客効果など一定の数値的な結果は予想されますが、雰囲気が醸し出してくれる精神の安らぎ、或いは失われていた人間としての感性の復活・・・・・・・・・・そういったものは測定不能ですよね。地域の中でリーダーシップを取られる方々が、単なる街起こしに留まらず、日本人の感性の復活までも想定されているとすれば、その慧眼に深く敬意を表したいと思います。
庭先を開放して行灯でお出迎え。
玄関先に小型提灯を吊しておられる民家も。
闇が深くなってきました、よい子はそろそろご帰宅かな。
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