2008年09月17日
華麗なる転身
快晴の秋晴れの下、軽トラックのハンドルを握り、にこやかに笑っている0mさんの姿があった。何してんのや・・・・・・・というのが仲間達の第一声。無理もない、スーツ姿でオフィス街を闊歩するキャリアウーマンの彼女しかイメージに無かったものだから。PCのキーボードを叩いていた細めの腕に、軽トラのハンドルが握られている。無論、作業服姿だ。聞くところによれば、河南町の農場に勤務しているのだとか。ICのオペレーターから農場の従業員に?、誰しもピンとはこないだろう。かねて農への関心は高そうだとの心証はあった。だが、まさか本気で転身しようとは夢にも想像していなかったのだ。おそらく全員がそうだったに違いない。
このスリムな体のどこにそんなエネルギーが。
安定した地位と収入を捨て、肉体労働の最前線である農の現場へどうして転身をと不思議に思うだろ。農業収入は全国的にみてもかなり低い。これのみで生計を立てるのはかなり困難な状況だ。無論、彼女がそうした実情を知らぬ訳ではない。知った上での決断なのだ。様々な思いや悩み或いはとまどいがあったには違いないと思うが、彼女の笑顔は吹っ切れていた。乗り切った結果の自信とも判断できる。
山仕事も堂にいったものだ。草刈りは十八番でもある。
無農薬栽培を旨とする農場だ、当然虫たちとの接近遭遇はかなり多い。青虫をつぶすにはなれましたけど、でっかい芋虫はどうもねえ・・・・・・・・・・と笑っていた。今までとは180度も異なるような生活だから、混乱することも多いだろう。牛小屋を改造した居住区で自炊生活を行っているそうだ。経済面では困難な場面とも向き合うかも知れないが、精神的・身体的には豊かな生活をおくれるだろう。人間にとって幸福とは何だろうか、と自問する機会も増えるかも知れない。信念と情熱を持って新たな道を選択した彼女にエールを送りたい。おそらく仲間の皆の衆も同じ思いだろう。
天高く、Z旗あがる。
天も彼女の決断を祝福してくれているのだろうか。青空高く、Z旗を掲げてくれた。かの日本海海戦で東郷提督が旗艦三笠の艦上に掲げて将兵の奮起を促したシンボルである。「皇国ノ興廃、コノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ」との意である。人間が決死の思いで決断し、努力を続ける姿からは、必ずや良い結果を導き出すものと信じたい。日本海海戦が一方的な勝利で終焉したように。