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金剛山麓に緑豊かな桃源郷「とんびの里」を創りたい、そんな想いに駆られた万年青年達の悲喜交々を、南河内の風土と一緒に紹介します。

2009年08月09日

老婆一人

炎天下で年老いたご婦人が一人黙々と鎌を振るっておられる。荒れ果てた畑を見るに忍びず、可能な範囲で耕しておられるのだろうか。高温と湿気とで、比較的元気なタイプに属する小生も、刈払機を担いだまましばしば日陰へと逃げ込んでいるのに。タオル一枚をかぶったばあさまはリズミカルな作業中だ。ご先祖様から引き継いだ田畑、荒らしてはならじ、との想いが彼女を行動へと駆り立てているのだろうか。若い衆がいないこともなかろうに、作業の受け手はないのだろう。こんな光景をあちこちで見る度に切ない思いにとらわれる。誰も農作業を好まず、食料の自給も出来ないのならば、この国と民族が滅び行くのもそう遠くない時期ではなかろうか。今月末は総選挙の時期だが、国の行く末を見据えた国家百年の計を語る候補者は皆目見あたらないようだ。耳障りのいいバラマキ政策が、屋台の呼び込みのように、空しく飛び交っている。


            腰の曲がった老婆が一人、黙々と草刈りを続けておられる。
     老婆一人     


農地の荒廃に対し、政府も各党も無策のようだ。某大学法学部をでた優秀な人物が官僚となって国を担っているから間違いない、イヤと言うほど聞かされた言葉だが、どこが優秀なのだろうか。荒れ果てる農地や疲弊する農山村を見ていると、不謹慎にもついそんな感慨を抱いてしまう。国民の全員が農を嫌っているとは信じがたい。農に憧れ農作業に意義を見いだす者も少なからず存在するのではなかろうか。周囲で見聞きする話でも、農や農地にかかわりたい人物は散見する。問題は農地が金縛りとなって動けない所にあるのではなかろうか。戦後60余年ほど続いた農地法とその精神が制度疲労を起こして時代にマッチしなくなった、その結果、耕作放棄地や休耕地が生じてしまったと言えるのではなかろうか。


       老婆の周囲は原野へと戻りつつある。遠くない時期に山へと還るのだろうか。
     老婆一人


農地法の第3条以下を覗いてみよう。詳細は六法をめくって頂くとして、簡単に要約すれば、農地の所有権移転には一定の資格要件が必要との規定である。単純化すれば、農地を購入しようと思えば5反(約1500坪)以上の耕作地があり年間150日以上の農業就労が要件(各行政体によって多少条件は異なるようです)となっている模様。早い話が現役の農家でないと農地を購入できない・・・・・・・・・・・この点がネックとなっているのだろう。戦前の不在地主と収奪へのアンチテーゼとして農地法が作られたが、結果として新規参入を閉ざし競争原理が働かない仕組みを作ってしまったようだ。新規参入と競争のない産業は、衰退と滅亡しか残されていないのではなかろうか。


              ここらもかっては見事な棚田が広がっていました。
     老婆一人


結果論として言えることは、農地法を改正し農地の売買を自由化して新規参入を容易にしてやることだろう。無論、非農地への転用を防止するため、地目変更は禁止し耕作不可の場合は雑種地課税(宅地相当)と場合によっては評価額による強制移転等をも考慮していいのではなかろうか。端的に言えば、不動産を目的に沿った形で使用収益出来ない場合は所有権も認められない・・・・・・・・・・・ここまで踏み込んだ制度確立が必要ではないかと考えている。今月末はこの視点から候補者の選択を図ってみたいものである。


              爽快な青空です、希望に燃えた青年のようですね。
     老婆一人





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