田舎暮らしはとんびの里で　Ｖｅｒ１

三木露風が、名曲「赤とんぼ」を作ったのはたつの市（兵庫県）の田園風景に於いてだと聞いている。恐らく、夕暮れの穏やかな光線の中をアキアカネがゆったりと飛び交う様をみて、慕情をそそられ、詩人の魂が揺さぶられたのではなかろうか。ただの農夫であろうと、一介の主婦であろうと、夕暮れの情景は人をして詩人へと変化させる魔力があるようですね。当地でも夕暮れの光景は人を捉え離さないものがある。畦道でしばし呆然とたたずむ人が多くなるのもこの季節ではなかろうか。金剛山麓である当地は西に向かった下り勾配の傾斜地である。ある意味、夕焼けに最も適した地形なのかも知れない。


　　　　　　　　　　　　　　　西の空が次第にあかね色に染まってきます。
　　　　　


夕飯前の一時、カメラを片手に近くの丘の上に登ってみる。丁度太陽が西に沈もうとする時間帯だ。あかね色の西の空が、ゆっくりと色調を変化させながら、落陽の静かなセレモニーを演出し始めている。レンズを通して覗き込むと、まさに燃え尽きんとするような太陽が、最後の渾身で世の中を照らしているかのようだ。一燈照隅、万燈照国・・・・・・・・・・太陽の持つ偉大な力に畏敬の念をいだく。


　　　　　　　　　　　草木達も同じように赤みを帯びた緑の世界へと変化します。
　　　　　
　　　　　　　　　　　　雲たちも一日の役割を終え、お休みの時間帯のようですね。
　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　我々の山仕事のフィールド岩湧山もあかね色に。
　　　　　


朝日は希望への光、夕日は静かな眠りへの光。どちらも人間にとって必要不可欠な存在、日々太陽が昇ってくれることにただ感謝の一語です。農作業をやっていますと、まさに太陽があっての暮らしということを、しみじみと実感します。太古の昔、日食現象に時の人々が世の消滅を想像したのも無理の無いことでしょう。彼は何も語らず、ただ黙って人々を暖めてくれるだけのようです、まさに無償の愛なのでしょうね。人間のエゴからくるオゾン層の破壊などとんでもない自殺行為のようです、心して対応を誤らないようにしたいものです。


　　　　　　　　　　　最後の力を振り絞って、世と人とを照らし出してくれるようです。
　　　　　

　　　　　


さて、堅い話はともかくとして、夕焼けの情景に人が魂を揺さぶられ心を捕らわれるのは自然な姿かと思います。秋の夕暮れはつるべ落としとか申しますが、僅かな時間で結構です、しばし夕焼けのセレモニーに時間を割かれてはいかがでしょうか。一日の疲れを癒し明日への活力をもたらしてくれるかと思いますが。


　　　　　　落陽です。西方浄土って本当にあるのでは、そんな心境にもなってきますね。