2008年02月18日
魂の森を行け
いつもは105円のユーズドブックしか買わない小生が、久方ぶりに金438円也を支払って新刊書を購入しました。一志治夫さんが岩波文庫から発刊した「魂の森を行け」です。主人公は横浜国大名誉教授の宮脇昭さんで実在の人物です。サブタイトルが「3000万本の木を植えた男」ということでわかるように、宮脇さんが生涯をかけ木を植え続けていることを追いかけ問いかけたものです。
岡山の山間部である成羽町(現在の高梁市)に生まれた宮脇さんは体が弱く、実家の農業を手伝いできない悔しさから、 ;百姓は何故しんどい思いで草取りをしなければならないのか: と疑問をいだき植物生態学への道を進みます。学会では異端視されながらもドイツ留学で恩師となられるチュクセン教授との出会いが運命を変えたようです。木を植え続ける意味、それは「都市の周りの森林を破壊したとき、その文明は破滅させられ、その周りは砂漠化していく」 という宮脇さんの言葉に集約されると思います。
この本を呼んでいて最も感銘したのが、チュクセン教授が研究に悩む宮脇さんに語る言葉です。「いまの若者にはふたつのタイプの人間がいる。ひとつは見えるものしか見ようとしない者。こいつらにはパソコンを持たせて遊ばせておけばいい。もうひとつは、見えないものを見ようと努力するタイプだ。宮脇、おまえは後者のタイプなんだから頑張りなさい」 と。
宮脇さんに始めてお会いしたのは、昨年秋、堺市内で行われた講演会でした。80歳を超えるお年でありながら、2時間近く情熱的に語り続けられました。木を植えることについて・・・・・・・・。たくさんの聴衆から質問や要望が飛び交います。支援を要請した植木職の若者に 「私は本物の人間しか相手にはしない。あなたが本気で木を植えようとするなら、命がけで桃源郷を作ろうとするなら、私は全面的に協力します 」そう語っておられました。現場に生き、現場で死のうとする気迫が周りの人間を圧倒します。とんびの仲間達にも是非読んでいただきたい書物の一冊です。
成羽町は学生時代の友人の故郷でした。40年ほどの昔、彼の帰省に連れ立って訪問したことがありますが、高梁駅から長時間のバスに揺られて山を登った雲上の世界だったのをかすかに記憶しております。
Posted by とんび at 05:57│Comments(0)
│森の図書館
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