2008年08月04日
小さな村おこし
和歌山との県境近くに天見という小さな山村集落がある。言わずと知れた、山間部の過疎高齢化の進んだムラで、大阪の都心部まで30分~40分程度で通勤できる場所とは想像だに出来ない。そう深い山ではないが、切り立った尾根の合間に小さな田畑が開け、少数の民家があちこちに点在している。最近、ここのじいさま・ばあさま達がやけに元気がいいのだ。ムラの小学校に他地区から生徒を呼び集め、田植えや稲刈り、杉や檜の伐採、川の探検や魚取り、雪合戦にバードウオッチングなど、かってのガキ大将よろしく教え込んでいる。たくましき悪ガキ達が育っているようだ。
活動拠点となっているムラの小学校。山間の川沿いにある。
ムラの小学校は6年生までの総数で85名前後、そのうち6割強が他の地区からの越境生だ。無論、教育委員会も認めた合法的なものである。駅のすぐ前にある利便性と自然環境が評価されているのだろう。じいさま達は悪ガキ育成と共に、最近は地元物産の販売まで始めてしまった。過日、徳島の葉っぱビジネスを紹介したテレビ番組があったが、80台後半と覚しきばあさまがパソコンを駆使してマーケットリサーチを行い、葉っぱの商機をうかがっていたのはとても愉快だった。彼の地でも主役は、ばあさま・じいさまである。
活動はまだ不定期だが、通算で8回ほどの実績を積み上げた。率直にいって、そうたいした商品が有るわけではない。自家用として棚田で作った野菜類がメインである。商品化を想定した物ではないので、我々が作る野菜類と大差ない。肝心なのは、こうした活動をじいさま達が立ち上げ、実に楽しそうに運営していることである。人は己の存在価値を実感するとき、希望と若さを取り戻す、とか。この地では老人医療費もおそらく相当低いのではなかろうか。後期高齢者とかいって、お金をむしり取るばかりが能ではあるまい。医療費を抑えるアイデアはたくさん存在するのである。
最後にじいさま・ばあさま達が発行している檄文を紹介しよう。かっての全共闘ではないが、過激なアジビラでもある。もっとも、読んでいてわくわくするような檄文ではあるが。今、まさに若き青少年達よりも、じいさま・ばあさまの世代から目を離せない、なんとも愉快な時代となってきたようだ。