2008年05月16日
楠妣庵観音寺
富田林の市街地から、東南の方角へ路線バスで30分程。そこは、金剛山の山懐に抱かれた谷間にあった。楠妣庵観音寺、読みにくい文字だが、なんびあんと読む。かの楠木正成すなわち楠公さんの久子夫人が祈りの余生をすごされた草庵のあとである。現在は禅宗の臨済宗に属するお寺となっている。行政区は富田林市だが、楠公さんの産まれ在所である森屋から、ほど近い場所にある。幼少の頃学問の修得に通った観心寺までの中間くらいだろうか。
バス道路からの入り口
六地蔵がお出迎え
もともと久子夫人はこの地、甘南備の生まれでもある。1336年の湊川の合戦で夫の楠公さんが戦死、1348年の四条畷の合戦で長男と次男並びに一族郎党が戦死したのを儚み、尼僧としてここの草庵で祈りの余生をおくられた。楠公さんの遺跡を巡る者としては、ゆっくりと全体を探索したいのだが、今日は時間がない。山門までの往復だ。
お寺の山門には宗教的格言
みたいな言葉を記したところ
が多いが、ここではお経を読
む意味について書かれてい
た。
途中には久子夫人の愛用の井戸(との伝承)が残されていた。中は覗けないが今でも水がわき出ているようだ。
参道は苔におおわれ、長い歴史とひっそりとした存在を想像させられる。いかにも尼僧が住まれた草庵の跡といった雰囲気だ。
ようやく山門に到着。日本庭園を思わせるような静かなたたずまいだ。カエデが多く、紅葉の頃が一番いい風景ではなかろうか。時間があれば寺内を散策したいのだが、本日は農作業の予定が詰まっている。残念だがここでUターンだ。11月の紅葉の頃、再度の訪問としよう。