2009年10月04日
走る炭焼き窯
「逆転の発想」・・・・・・・・ビジネス現場でよく話題となるキーワードだ。だが言うは易で、なかなか実行には及びがたい領域でもある。今回その言葉を実感するような場面と遭遇した。しかも主役は高校生の皆さんだ。まかり間違っても、最近の若い者は・・・・・・などの発言は控えておこう。心すべきは若者の失敗ではなく老害である、とりわけ政治の世界では顕著でなかろうか。
さて本論にはいろう。数年間、炭焼きにもタッチしたが、基本は山で原木を確保し炭窯に運搬するとの方式だ。高校生の皆さんが考えたのは、窯を現場に運んじゃえ、という全く逆の発想。まさに逆転の発想なのである。
立派な竹炭が出現しました。火入れから僅か数時間後です。

こんなのどかな環境の下での燃焼実験でした。

彼らに問うてみた、何故こんな事を考えたのか、と。地元の泉州は竹林がはびこり、竹害によって山も田畑も脅かされ、ボランティアが活躍してくれるも対応しきれないので、何とか支援をとの気持ちからですとの回答でした。泣かせる台詞ですね。発想の原点となったのは、ボランティアの労力軽減とのことで、炭窯を現場に運べば伐採した竹をその場で炭化出来るし、軽トラに乗せてどこへでも運搬可能なので、利便性が高いようです。時間的には燃焼に約3時間、冷却に約3時間と言うことで、1日で炭となります。これが炭窯で焼く黒炭等であれば、火入れから炭出しまでおよそ1週間、時間的には無茶早いです。
他の資材も運んだのでトラックで。炭窯のみなら軽トラで充分なそうです。

赤いのは廃油使用の発電機。環境対策が狙いでもあるようです。

デモンストレーションだったので、長さ1.5メートル位に玉切りした素材を窯の1/3程度詰めての実験でした。それでも燃焼に2時間くらい、冷却に1.5時間くらいで完了した模様。たくさんの見学者の前に立派な竹炭が出現しました。ちなみに燃料は廃油を使用しているそうです。原理的には家庭のガスコンロで魚を焼いている姿を想像してもらえればいいかと思います。無論、竹酢液の回収も可能なようです。
さあいよいよ炭出しのようです。ドアの開閉に四苦八苦しています。

上段は炭材室、下段はバーナー室ですね。

空気が一部流入したのか燃焼中の炭もありました。扉の開閉に手間取ったのは専用工具を忘れたのと、締めがボルト・ナットだったので熱で焼き付いた模様です。素材は1/3程度しか入れてなかったので結果の炭も少なめです。まあ実験なので満タンにする必要性もないでしょう。
高校生と議論する見学者。このお父さんは3時間も粘っていました。

熱心に見学される参加者の方々。厳しい意見も飛び交ってました。

さてここで森林ボランティアの一員として、この機械が使えるか個人的な意見を述べてみたいと思います。まずは着眼点のすばらしさに100点、困難にめげず開発に尽力された姿勢と努力に100点、ボランティアの労力軽減にという公的精神(利他の精神)に100点、ここまでは文句なしかと思います。ちょっと気になる点は開発費の問題と炭化能力の問題それとランニングコストの問題でしょうか。まずは開発費、ネットで中古パーツなどを集められたようですが、それでもパーツ代のみで70万~80万程度かかったようです。ボランティア団体には出費不能かと思えます。公的機関や企業等からの支援があれば別ですが自力制作は困難でしょう。次に炭化能力の問題。推測ですが窯にはいる竹は1.5メートル位のが数十本程度、これをおよそ1日がかりで炭化します。翻って従来の炭窯ですと炭材で5トン程度、炭になってしまうと500キロ程度が1回で回収できます。処理能力の違いは大きすぎるのではないでしょうか。次にランニングコストの問題。廃油が燃料ですが、経常的に入手可能か不明。代替としての軽油はそれなりの購入コストを伴います。ここらの経費をどう捻出するか、竹炭が商品化できれば可能かも知れませんね。
細々したことを記述しましたが、従来のボランティアが発想できなかった視点を提供してくれました。高校生の若い頭脳と共に社会全体を見据えた利他の精神に大きな感銘を受けました。大人が想像している以上に、若い人々はしっかりと物事を考えているようです。一部の表面的な現象に惑わされ、判断を誤る愚を犯さないようにしたいものです。発想の転換を身をもって教えてくれた高校生の皆さん、あえて実名を公表しておきたいと思います。府立佐野工科高校自動車部の生徒さん達でした。
会場にはコスモスが満開、彼ら若者の智慧ある行動を祝福しているのかも。

さて本論にはいろう。数年間、炭焼きにもタッチしたが、基本は山で原木を確保し炭窯に運搬するとの方式だ。高校生の皆さんが考えたのは、窯を現場に運んじゃえ、という全く逆の発想。まさに逆転の発想なのである。
立派な竹炭が出現しました。火入れから僅か数時間後です。

こんなのどかな環境の下での燃焼実験でした。

彼らに問うてみた、何故こんな事を考えたのか、と。地元の泉州は竹林がはびこり、竹害によって山も田畑も脅かされ、ボランティアが活躍してくれるも対応しきれないので、何とか支援をとの気持ちからですとの回答でした。泣かせる台詞ですね。発想の原点となったのは、ボランティアの労力軽減とのことで、炭窯を現場に運べば伐採した竹をその場で炭化出来るし、軽トラに乗せてどこへでも運搬可能なので、利便性が高いようです。時間的には燃焼に約3時間、冷却に約3時間と言うことで、1日で炭となります。これが炭窯で焼く黒炭等であれば、火入れから炭出しまでおよそ1週間、時間的には無茶早いです。
他の資材も運んだのでトラックで。炭窯のみなら軽トラで充分なそうです。

赤いのは廃油使用の発電機。環境対策が狙いでもあるようです。

デモンストレーションだったので、長さ1.5メートル位に玉切りした素材を窯の1/3程度詰めての実験でした。それでも燃焼に2時間くらい、冷却に1.5時間くらいで完了した模様。たくさんの見学者の前に立派な竹炭が出現しました。ちなみに燃料は廃油を使用しているそうです。原理的には家庭のガスコンロで魚を焼いている姿を想像してもらえればいいかと思います。無論、竹酢液の回収も可能なようです。
さあいよいよ炭出しのようです。ドアの開閉に四苦八苦しています。

上段は炭材室、下段はバーナー室ですね。

空気が一部流入したのか燃焼中の炭もありました。扉の開閉に手間取ったのは専用工具を忘れたのと、締めがボルト・ナットだったので熱で焼き付いた模様です。素材は1/3程度しか入れてなかったので結果の炭も少なめです。まあ実験なので満タンにする必要性もないでしょう。
高校生と議論する見学者。このお父さんは3時間も粘っていました。

熱心に見学される参加者の方々。厳しい意見も飛び交ってました。

さてここで森林ボランティアの一員として、この機械が使えるか個人的な意見を述べてみたいと思います。まずは着眼点のすばらしさに100点、困難にめげず開発に尽力された姿勢と努力に100点、ボランティアの労力軽減にという公的精神(利他の精神)に100点、ここまでは文句なしかと思います。ちょっと気になる点は開発費の問題と炭化能力の問題それとランニングコストの問題でしょうか。まずは開発費、ネットで中古パーツなどを集められたようですが、それでもパーツ代のみで70万~80万程度かかったようです。ボランティア団体には出費不能かと思えます。公的機関や企業等からの支援があれば別ですが自力制作は困難でしょう。次に炭化能力の問題。推測ですが窯にはいる竹は1.5メートル位のが数十本程度、これをおよそ1日がかりで炭化します。翻って従来の炭窯ですと炭材で5トン程度、炭になってしまうと500キロ程度が1回で回収できます。処理能力の違いは大きすぎるのではないでしょうか。次にランニングコストの問題。廃油が燃料ですが、経常的に入手可能か不明。代替としての軽油はそれなりの購入コストを伴います。ここらの経費をどう捻出するか、竹炭が商品化できれば可能かも知れませんね。
細々したことを記述しましたが、従来のボランティアが発想できなかった視点を提供してくれました。高校生の若い頭脳と共に社会全体を見据えた利他の精神に大きな感銘を受けました。大人が想像している以上に、若い人々はしっかりと物事を考えているようです。一部の表面的な現象に惑わされ、判断を誤る愚を犯さないようにしたいものです。発想の転換を身をもって教えてくれた高校生の皆さん、あえて実名を公表しておきたいと思います。府立佐野工科高校自動車部の生徒さん達でした。
会場にはコスモスが満開、彼ら若者の智慧ある行動を祝福しているのかも。

Posted by とんび at 05:05│Comments(0)
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